韓国で話題の「ピザソルギ」とは?なぜ今、若者が餅屋に並ぶのか韓国料理人が解説

韓国の食文化

韓国で今、若い人たちが並んでいる場所があります.
ピザ屋ではありません。

なんと、「餅屋」です。

その理由のひとつが、今話題になっている**「ピザソルギ(피자설기)」**。
ソルギとは、韓国で昔から食べられてきた、米粉を蒸して作る伝統的な餅です。

ソルギ
韓国の蒸し餅の「ソルギ」

そのソルギにトマトソース、チーズ、ペパロニ、オリーブなどを組み合わせたものが「ピザソルギ」。

簡単に言えば,
「韓国の伝統的なお餅とピザを合体させた食べ物」
ですね。

でも私は、単純に「ピザと餅を組み合わせたから流行った」だけではないと思っています。
韓国料理を長くやってきた料理人の目線で見ると、ここ数年の韓国デザートの流れと非常につながっているんです。

今回は、なぜ今ピザソルギが注目されているのか。

韓国デザートの変化と一緒に見ていきたいと思います。


ピザソルギとは?

ピザソルギのベースになる「ソルギ」は、韓国で昔から食べられている蒸し餅です。
白くてシンプルな見た目ですが、米の風味があり、しっとり、ほろっとした独特の食感があります。

韓国では昔から、お祝いの日や行事などにも登場してきた身近な食べ物です。
そこにトマトソースやチーズ、ペパロニ、オリーブなどを合わせる。

ピザソルギ
ソルギ

昔ながらの韓国餅が、一気に現代的な食べ物になります。

ソルギを二枚用意し、間にトマトソースとチーズを挟み、上にもチーズ、ペパロニ、オリーブをのせて温める。
仕上げにバジルを添えれば完成です。

ピザソルギ
ピザソルギ

白いソルギ。
赤いトマトソース。
とろけるチーズ。

この色のコントラストも、非常に今っぽいんですよね。


最近の韓国デザートで重要なのは「食感」

少し前の韓国デザートを思い出してみてください。

クロッフル
クロッフル

クロッフル。

薬菓(ヤッカ)。

薬菓(ヤッカ)
薬菓(ヤッカ)

タンフル。

ドバイチョコレート。

ドバイチョコレート
ドバイチョコレート

そして最近では、ドバイチョコレートを韓国式にアレンジした「ドバイ・チョンドゥクッキー」のように、食感を強く打ち出したデザートも話題になりました。

ドバイ・チョンドゥクッキー
ドバイ・チョンドゥクッキー

こうして見ると、最近の韓国デザートにはひとつ大きな特徴があります。

それが、
「食感」
です。

韓国語には、食感を表す言葉がたくさんあります。

쫀득쫀득(チョンドゥクチョンドゥク)
もちっとして、弾力のある感じ。

바삭바삭(パサッパサッ)
サクサク。

말랑말랑(マルランマルラン)
やわらかい。

탱글탱글(テングルテングル)
ぷるんとして、弾力がある感じ。

最近の韓国デザートは、ただ「甘くておいしい」だけではありません。

噛んだときにどう感じるのか。

割ったときにどんな断面が見えるのか。

チーズがどれくらい伸びるのか。

そこまで含めて商品になっています。


なぜ韓国スイーツとショート動画は相性がいいのか?

この「食感重視」の流れは、Instagramリール、TikTok、YouTube Shortsのようなショート動画とも非常に相性がいいです。

例えばピザソルギ。
白いソルギを切る。
断面が見える。
そこに赤いトマトソースを塗る。
チーズをのせる。
温める。
そして持ち上げると、チーズが伸びる。

ピザソルギ
ピザソルギ

これだけで動画として成立します。
味は画面からは伝わりません。

でも、
「サクッ」
「もちっ」
「とろ〜っ」
という食感は、映像である程度想像させることができます。

だから今のデザートでは、
「食べたくなる見た目」だけでなく、「触感まで想像できる映像」
が非常に重要になっていると思います。


私がもっと面白いと思うのは「ソルギ」が使われていること

ただ、私がピザソルギを見て一番面白いと思ったのは、チーズでもペパロニでもありません。
「ソルギ」が主役になっていることです。

ソルギは最近生まれた食べ物ではありません。
韓国では昔からある餅です。

私たちの世代からすると、
「最新スイーツ!」
というイメージの食べ物ではないんですよね(笑)。

むしろ、
お祝いの日に食べる。
誰かに配る。
家族で食べる。

そういうイメージの方が強い食べ物でした。

ところが今の若い世代は、その昔からある餅を「昔の食べ物」としてだけ見ていません。

新しいデザートを作るための素材として見始めています。
ここが非常に面白いところです。


薬菓ブームにも同じ流れがあった

少し前に韓国で薬菓が若い世代を中心に再び注目されました。
薬菓も昔からある韓国の伝統菓子です。

でも若い世代は、薬菓をそのまま昔と同じ形で食べるだけではありませんでした。

アイスクリームと合わせたり。
クリームと組み合わせたり。
かわいいパッケージに入れたり。
カフェデザートとして提供したり。

つまり、
昔からあるものを、今の感覚でもう一度楽しめる形に変えた。

これによって、若い世代が伝統菓子を再発見したんです。
私はピザソルギも、この流れの延長線上にあると思っています。


「伝統を守る」から「伝統を再編集する」へ

韓国で今起きている面白い変化のひとつが、
「伝統をそのまま残す」だけではなく、「今の感覚で再編集する」
という考え方です。

もちろん昔ながらの味を守ることは大切です。
でも、昔とまったく同じ形だけで残そうとすると、若い世代との距離ができてしまうこともあります。

そこで、
伝統的な素材。
現代的な味。
SNSで伝わりやすい見た目。
新しい食感。

これらを組み合わせる。
すると、昔からある食べ物が突然「新しい食べ物」に見えてきます。
ピザソルギは、その非常に分かりやすい例だと思います。


「知っているのに新しい」がヒット商品のポイント

ピザソルギには、商品開発という意味でも面白いポイントがあります。
それが、
「知っているもの同士なのに、新しい」
ということです。

韓国人ならソルギを知っています。
ピザも知っています。

でも、
「ソルギ+ピザ」
となった瞬間、
「え?どんな味?」
となります。

完全に知らない料理ではないので、食べるハードルは低い。
でも組み合わせは新しいので、一度試してみたくなる。

これは飲食店の商品開発でも、非常に重要だと思っています。
新商品だからといって、何もかも新しくする必要はありません。
むしろ、
「知っているもの+少し意外なもの」
くらいの方が、お客さんは安心しながら新しさも楽しめます。

私自身も新商品を考えるとき、この感覚はとても大切にしています。


韓国スイーツの流行はどんどん速くなっている

もうひとつ、最近の韓国デザート市場で感じるのが、流行のスピードです。
以前は、一つの商品がブームになると比較的長く人気が続いていました。

でも最近は、SNSをきっかけに一気に広がり、そのあとすぐに次の商品が登場します。
だから今は、
「何が流行っているのか」
だけを追いかけていると少し遅い。

それよりも、
「なぜ今これが流行ったのか?」
を見ることの方が大事になっています。

食感なのか。
見た目なのか。
懐かしさなのか。
意外な組み合わせなのか。
伝統の再発見なのか。

ヒットした理由を理解できれば、その次の商品開発にも応用できます。


ピザソルギは定番になるのか?

では、ピザソルギはこれから韓国の定番になるのでしょうか?
これは、まだ分からないと思っています。
もしかすると数カ月後には、また別のデザートが話題になっているかもしれません。

今の韓国デザート市場は、それくらい流れが速いです。
ただし、仮にピザソルギ自体のブームが落ち着いたとしても、
「韓国の伝統的な餅を、若い世代向けに再編集する」
という流れは、これからも続いていくのではないかと思っています。


私が注目しているのは「떡(餅)」そのもの

私は今回、ピザソルギが流行っていること以上に、
韓国の若い世代が、もう一度「떡(餅)」を面白がり始めていること
に注目しています。

ソルギだけではありません。

昔ながらの韓国餅には、まだまだ現代的にアレンジできる可能性があります。
クリーム。
フルーツ。
チーズ。
ナッツ。
コーヒー。
抹茶。
さらに塩味系の食材。

組み合わせ次第では、韓国餅からまだたくさんの新しい商品が生まれると思います。
そして、これは韓国だけの話ではありません。

日本や海外でも、
「韓国の伝統×現代デザート」
というカテゴリーは、これからもっと面白くなる可能性があります。


伝統料理を次の世代につなぐ方法

昔の料理を、そのまま守ることも大切です。
でも私は、
今の人が食べたくなる形に変えて、次の世代につなげることも、伝統を守る一つの方法
だと思っています。

ピザソルギを見ていると、それをとても感じます。

昔ながらのソルギが、
トマトソースとチーズによって、
「昔の餅」から「今食べたいもの」に変わる。

でも土台には韓国の食文化がちゃんと残っている。
私は、こういう料理の進化がとても面白いと思っています。


まとめ

ピザソルギが面白いのは、単に「餅にチーズをのせたから」ではありません。
そこには、
食感を楽しむ韓国デザート文化。
ショート動画との相性。
伝統食品の再発見。
知っているもの同士を組み合わせる商品開発。

そして、
昔の食文化を現代の感覚で再編集する流れ。
これらが重なっています。

だから私は、ピザソルギそのものの流行以上に、
「これから韓国の餅がどう変わっていくのか」
に注目しています。

日本でもこれから、韓国の「餅デザート」を目にする機会がもっと増えてくるかもしれません。

皆さんは「ピザソルギ」、食べてみたいですか?
もし日本で韓国餅を使った新しいデザートを作るなら、どんな味を食べてみたいでしょうか?
ぜひコメントで教えてください。

これからもキムチ王子ブログでは、
「韓国で今、何が流行っているのか」だけではなく、「なぜ流行っているのか」
まで、韓国料理人の目線から分かりやすく紹介していきます。

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